Nシステムの恐ろしいノンフィクションなお話

Nシステムというものをご存知だろうか?
自動車ナンバー自動読取装置と呼ばれるもので、簡単にいうと、道行くクルマのナンバーをリアルタイムに記録する、監視システムだ。
詳細はWikipediaを参照して欲しい。

正しく使えば、犯罪の検挙などにも役立つだろうが、プライバシーの問題もある。
撮影されるのはナンバーだけで無く、運転席や助手席の写真も一緒に撮られている。

最近、富山市内にも新たにNシステムが設置された。

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それでは、時効ということもあってNシステムに関する、恐ろしいノンフィクションなお話をしよう。


200X年、ある日知らない電話番号から着信があった。
都内の某警察署からであった。

警察 「福田さんですね。ちょっとお伺いしたいことがありますので、署まで来ていただくことはできますか?」
自分 「(身に何も覚えがないが)いいですよ、たまたま近くにいますので、30分ぐらいで行けます」
ということで、指定された警察署に向かった。

警察署につくと、取調室に案内された。
警察の対応は非常に丁寧で、物腰も低い。

取調室には所轄の刑事だけでなく、警視庁の捜査第一課の刑事も来ていた。
(本庁の捜査第一課が来ているということは、結構な犯罪なんだなっと直感でわかった)

多くの説明も受けずに、
警察 「この方を知っていますか?」
という言葉と共に、ゆっくりとある写真を見せられた。

それは会ったことも見たことも無い、還暦を超えた男性の写真だった。
自分 「ん?いや、知りません。会ったことも無いですよ?」

警察 「そうですか・・・実はこの方は、都内某所で殺されていまして、先日、富士山の近くで遺体が発見されたのですよ」
ボクとまるで接点が無い殺された被害者とボクとの接点は、「富士山の近く」にあった。

警察 「福田さんは、XX月XX日XX時頃に、富士山のXX付近にいらっしゃいましたね?」
警察 「その時間に、この方の死体遺棄されたと思われる時間と合致するのですよ」

確かにそうだ。
金曜日のその日、ボクは某店でレンタカーを借りて、仕事が終わってから東京から静岡の富士市に行って食事をし、深夜には富士山5合目に行っていた。
ボクは、参考人 兼 容疑者のひとりだった。

しかし、何故ボクがそこにいたのがわかったのか?
その答えがNシステムだった。

Nシステムで、その場所その時間帯に通ったクルマを調べ、さらに、その中から東京から移動してきたものを絞り込む。
レンタカー会社に照会して、どの店舗で誰が借りたかを確認。ボクの免許証、電話番号を調べてコンタクトをとってきたのだ。

これは事実かどうかわからないが、警察から電話がかかってきた時、その2時間前ぐらいからある場所でミーティングをしていた。
その場所から2kmも離れていない警察署から電話があったのである。
それは、もしかすると、ボクの電話番号から基地局情報(GPSではない)を確認し、迅速に取調べするために、あえてその警察署に呼び出したのかもしれない。

レンタカーを運転していたボクだけでなく、同行していたAさんのことも把握されていた。
(名前ではなく、性別と容姿だけだったが)
Aさんにも連絡をとって、警察署まで来てもらった。

Aさんにもボクと同じように、写真を見せて、知り合いかどうか確認をさせられた。
Aさんの答えも、もちろん「No」だ。

任意ではあるが、捜査のために指紋の採取とDNA調査のために髪の毛をもらえないか?と言われた。

まあ、自分の指紋やDNA情報が警察のデータベースに入ってしまうのは気持ち悪いが、別にクローンを作る訳でもなく、悪用されることも無いと信じて、髪の毛を2本ほど抜いて渡した。
(警察が本気になれば、DNAなんてどんな方法でも使って入手するだろう)
事件が解決したなら、その段階でデータベースから削除して欲しいが・・・。

その遺体は、東京から富士山付近までクルマで運ばれたようだ。
当時、思い出せば富士山スカイライン付近で、猛烈なスピードで東京方面に向かうトラックを見かけたような気がした。


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運転していたボクよりも、Aさんのほうが良く覚えていた。
その場で覚えていることと事実を話し、そのまま帰っていいことになった。(何も関係ないのだから当然だが)

後日、Aさんと見かけたトラックの特徴などを話し合って、似た車種のカタログを入手して担当刑事に連絡をとった。
翌日、朝一でマンションのインターフォンが鳴った。
それも、一階のオートロックのインターフォンではなく、部屋のインターフォンだった。
来たのは、昨日連絡した警視庁の担当刑事だった。
「動きが早い・・・。というか、オートロックをどうやって抜けてきたのか?」
まあ、謎はあったが、カタログを渡して帰ってもらった。

それから、どれくらい時間がたったかわからないが、その事件の犯人が捕まったというNEWSをWebで見た。
犯人が遺体を運んだのはトラックだったのか乗用車なのか判らないし、我々の証言が何か捜査の役にたったのかもわからない。
殺されてしまった本人や遺族は気の毒だが、犯人が無事に逮捕されて良かったなと思った。

犯罪捜査に役立つNシステム。その一方でプライバシーは丸裸にされて、悪用しようと思えばクルマでの行動は筒抜けだ。
普通にクルマを走らせていて、国民が気づかないところで、すべて情報は集められている。
何とも恐ろしく、気持ちの悪いことだ。

それからタスポ。ボクはタスポは持っていないが、タスポの自動販売機にはNTTドコモのFOMA通信モジュールが組み込まれている。

タスポのWebサイトにはこうある
「個人情報を第三者に提供することはあるの?」
当会の個人情報保護方針にお示ししていますように、原則としてtaspoカードに関する個人情報を第三者へ提供することはありません。
ただし、個人情報保護法に基づく場合及び刑事訴訟法等の法律に基づき、司法・行政当局から正式な照会があった場合には、該当するtaspoカードに関する個人情報を提供することがあります。

タスポを犯罪捜査に使っているかどうかは判らないが、使おうと思えば、誰が、いつ、どこで、何を買ったか把握できる。
(ま、犯罪者がタスポでタバコを買っている時点で、墓穴を掘っているんだけど)
つまり、警察や司法機関の気持ち一つで、個人情報や行動は丸わかりってことだ。

電子マネー化、定期券や免許証のICチップ化など便利になってきてはいるが(免許証のIC化は別に何も利便性が無いと思うけど)、それと引き換えに見えざる手で管理されている時代になってきている。

自分のプライバシーは、できる限り意識して、自分で守らなくてはならない。

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