カーインプレッション BMW M5 (E60)

BMW-M5-E60
世界最速の4ドアセダンのひとつ。
AMGやポルシェ・パナメーラなど大馬力セダンは他にもあるが、V型10気筒自然吸気エンジンを搭載したセダンはM5のみ。

同じV10エンジンを搭載するポルシェ・カレラGTやランボルギーニ・ガヤルドなどのスーパーカーと比べれば、エキゾーストノートも比較的大人しいが、M5は実用性のある4ドアセダン。

セダン+V10は、ある意味究極の一台。
一見すると、普通のBMW。羊の皮を被った狼とはこのクルマのことを言うのだろう。

BMW5シリーズは既にフルモデルチェンジ(F10)をし、2010年9月現在、M5はラインナップされていない。
近々に発表される新M5(F10)は、550psを超えるV型8気筒4,400ccのツインターボモデルになるという。
新5シリーズはシャーシコンポーネンツを7シリーズと共有しているため、ボディが大きすぎる。
だからボクは、先代のE60のほうが好きだ。先々代のE39も好きだが。

しかし、同じ加給エンジン(ターボ)を搭載しているアルピナB5とは(エンジン面で)、どう差別化するのだろうか?
※もっともアルピナはアルピナの味があるので、差別化はできると思うが・・・。
※アルピナB5(F10)は、先代(E60)のB5S(スーパーチャージャー)からパワーも最高速度も落ちているが、どうしたものか・・・。

さて、話はM5(E60)に戻るが、やはり一番の特徴は、507psを出力するV型10気筒自然吸気の5,000ccエンジン。
重いボディをものともせずにレーシングカーのように加速する。

トランスミッションは、時代を感じさせるシングルクラッチの7速SMG-IIIセミAT。
最新のダブルクラッチトランスミッションと比べると、あまりの変速ショックに悲しくなるが、コツをつかめば多少はスムースに乗れる。

通常のBMW5シリーズで採用されているアクティブステアは装着されず、ごく自然なステアリングフィールを提供してくれる。
非常にファットなタイヤを履きながらも、その乗り心地は先代(E39)のMスポーツよりも良い。

一番のネガティブポイントはガスイーターなことだろう。
市街地走行で4km/lなどは普通。
大排気量でガソリンをまき散らして走るクルマの時代は終わるのだろう。
しかし、V型10気筒エンジンの魅力は忘れることができない。

E60 M5の最終的な価格は1,410万円と高額なものであった。
しかし、リセールバリューの悪いM5は、逆にいうと中古で買えば非常にオトクとも言える。

維持費は高いだろうが、2014年10月現在、56,000kmしか走行していない中古車が、正規ディーラーで289万円という特価で買えるとは驚きだ。

とりあえず、ボクが一番欲しいクルマのひとつである。
いつか買う。

あ、どこかにお金持ちの方がいらしたら、左ハンドル、室内アルミパネルのモデルをください。
※右ハンドルのモデルは、とりあえずハンドルだけ右につけました的で、色々と運転がし辛いのでNGです。

P.S.E39のM5のプロモーションビデオは最高です!

カーインプレッション シトロエンC6 / CITOROEN C6

シトロエン C6
世界一優美なスタイリングと呼ばれる4ドアセダン。そのスタイリングとハイドロサスペンションで異次元の走りを体験させてくれる。

サイズ的にはメルセデス・ベンツ、BMW、Audiなどの競合車はあるものの、C6にライバルはいない。

「自動車評論家たちが絶賛すると売れない」というジンクス通り、2006-2007日本カー・オブ・ザ・イヤー「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、販売面では苦労しているし、リセールバリューも悪い、かなりのレア車だ。
本年中には、日本の在庫車が無くなり次第、販売終了するとのこと。

しかし、そういったことを一切忘れさせる魅力がこのクルマには存在する。

搭載されるエンジンは、オーソドックスなV型6気筒3,000cc。必要十分ではあるがややトルク不足を感じる。
トランスミッションは、アイシン製の6AT。シフトショックはほとんど感じない。

やはり特筆されるのは、シトロエン独自の電子制御スプリング&ダンピングシステムである「ハイドラクティブIIIプラス」。
走るホバークラフトの異名のごとく、まるで地を浮くように走り、コーナリング時もほとんどロールせずに曲がっていく。
しかし、18インチ扁平率45のタイヤでは、やはりコツコツとハーシュネス(突き上げ)が気になる。
メーカーオプションの17インチタイヤのほうがベターかと思う。

高速走行は長いホイールベースのお陰もあり、概ね安定して走行できる。
65km/hになると上昇する速度感知式可変リアスポイラーが高速走行の安定性に寄与しているのかもしれない。
ただ、このクルマに乗るとスピードが何km/hでるとか、そういうことは気にならなくなる。

一番ネガティブに感じたのが、ステアリングのフィーリング。
ステアリング・インフォメーションはゼロ。ステアリングが軽すぎて、クルマを運転しているという感覚がまるで無い。
長いホイールベースに、長いフロントオーバーハングで、取り回しもすこぶる悪い。

室内のクオリティは到る所に本革をあつらえた豪華なものだが、ダッシュボードはフランス車らしくプラスチッキーなもの。
ナビは、2005年製の古いカロッツェリアのナビを無理やり押しこんであり、操作はリモコンのみと操作性も悪い。

黒のレザーシートは、夏はヤケドをするぐらい熱くなり、冬は凍えるほど冷たくなる。
(もっとも、レザーシートの問題はシトロエンに限ったことではないが)
本当の高級車は、シート生地にウールなどを使うものだ。
本革では無いが、アルカンターラを使ったシートもいいと思う。

フランスの歴代大統領の公用車にもなっていることもあり、ショーファードリブンとしてもカッコいいのではないか?

個人的にはFFであり、取り回しの悪さが嫌いだが、スタイリングと乗り味がわかる大人ならいいチョイスだと思う。

カーインプレッション Audi A5 Sportback

Audi A5 Sportback
華麗なスタイリングながら、4ドアセダンの実用性、ワゴンの拡張性をもったマルチパーパスなスポーツクーペ。

搭載されるエンジンは、Audiご自慢のTFSI。
直列4気筒2000ccをターボ加給する。
最近流行の小排気量+加給エンジン=低燃費、低エミッションな心臓だ。
最高出力155kW (211ps)/4,300~6,000rpm 、最大トルク350Nm (35.7kgm)/1,500~4,200rpmで、2,000ccながらブ厚いトルクで、比較的大きく重いボディを忘れさせるように、驚くほどクルマをガンガンと走らせてくれる。

メーカーが言うとおりターボのクセはほとんど気付くことは無く、3,500cc相当のNAエンジンを上回るようなトルク感がある。

トランスミッションは、常識となりつつある7速Sトロニック、ダブルクラッチトランスミッションだ。
低燃費を狙ってか、街乗りで50km/hぐらいまでにはすでに6速あたりまでシフトアップされる。シフトショックはほとんど感じない。
ハンドルに取り付けられているパドルシフトを使えば、まるでゲーム機のようにカチカチと小気味よくシフトアップ&ダウンしてくれる。
シフトをSモードに入れると、シフトダウン時に気持よくブリッフィングしてくれ、運転が上手になったような錯覚がする。

Audiの代名詞とも言えるクアトロシステム(4WD)は、ステアリングにトルクをあまり感じさせないセッティングで、ステアリング・インフォメーションも上々。
変にアクティブコントロールなどを使った最近のBMWのステアリングフィールよりは好ましく、昔のBMWのMスポーツ系に似た感覚だ。

高速走行もクアトロのおかげで安定しているが、ぬおわkm/hを超えたあたりから少し挙動が不安定になるものの、ふわわkm/hぐらいまではロードノイズ、風切り音も少なく、メーターを見て出ている速度に驚くほど。

このA5 Sportbackは通常では十分な剛性感が感じられるものの、プレスドアではなく、ピラードハードトップかつハッチバックのため、リア周りの剛性が弱くなっていると思われる。
高速走行時の挙動の不安定さはここに原因があるのかもしれない。また、リアスポイラーがついていないのも不安定な原因かと思われる。
もっとも、日本の法定速度+αで走行する分には全く問題は感じられないが。

タイヤは最近のクルマはどれもそうだが、扁平率が低く、コツコツとハーシュネス(突き上げ)が多少気になる。

一番ネガティブに感じたのが、低速域での回生ブレーキのフィーリング。
超低速で走行中にアクセルを離すと、まるで誰かにサイドブレーキをひかれたかのような不思議な減速感を覚える。

室内のクオリティは評判通り高いが、操作性としてはすこしゴチャゴチャした感じがする。
ナビも普通に使えるが、もう少しシンプルなインターフェイスのほうが望ましい。

個人的には4WDもターボもあまり好きではないが(FR、NAが好き)スタイリングと使い勝手などトータルでは非常に良いクルマだと思う。
背の低いワゴンのようにも使える、実用性十分なスポーツクーペだった。
少しお高いのが、玉にキズ。