「Audio Visual」カテゴリーアーカイブ

BOSE

BOSE 501Z

501Z BOSE 価格109,200円 (1991年当時の価格)

【 MITの教授が研究成果をカタチにした まったく新しい音場空間スピーカー 】
 スピーカーの世界に独自のアイデアを持ち込んだという点では「ボーズ」をしのぐものはない。全面と後面の音波放射をたくみに組み合わせた#901シリーズ、まるで追撃砲のような低音専用ユニット・Cannon、低価格ながら豊かな鳴りと音楽性を備えた#101シリーズなど、その形からしてユニークな製品ばかり。それは奇を衒ったものではなく、確固とした音響理論、心理音響学に裏打ちされている。そもそもボーズ社自体が、MITの教授であるA.G.ボーズ博士の理論を実証するために設立されたものなのだ。その理論が正しいことはサウンドが証明している。
 1988年に登場したキューブスピーカー+ベースボックスのスタイルにもまったく同じことがいえる。それまでになかったスピーカーの形。録音するマイクロフォンが点収録なのだからスピーカーも点、ポイントが理想なのだが、小さな振動体では低音から高音までの広い帯域を再生することができないし大きなエネルギーを放射することもできない。そこで、強力な磁石をもつ小型スピーカーを2個組み合わせて中高音を、独自理論”アクースティマス”によって開発されたベースボックスが低音を受け持つシステムが完成した。充分に低い周波数の音は人間の耳に方向性を生じない、という研究成果を応用して、ベースボックスは適当な場所に置くだけでいい、というのも新しかった。このシステム、現在は501Zとして知られる。
 501Zを使うと何が起こるか。まずスピーカーが存在を主張しない。まったくナチュラルな音場空間が目前に広がる。初めて部屋に入った人なら、どこから豊かなサウンドが放射されているのか、わからないだろう。さらにふたつのキューブユニットの向きを調整することで、部屋や再生音ジャンル、好みにあわせた響きに調整することも可能。AVエイジも本格化してディスプレイはますます大型化するが、コンパクトなキューブは空間のどこにでも置くことができるから心配はない。このシステム、今後ますます活躍の場が広がるのではないだろうか。

今井今朝春、「世界の傑作品」、モノ・マガジン、第10巻第20号(通巻200号)、1992年10月2日、39ページ

続きを読む BOSE