安くて面白い、自作系オーディオにチャレンジ Vol.3

さて、前回の続きです。

音工房Zの試聴会に参加できる機会があったので、埼玉県草加市にある株式会社音工房Zの本社まで行ってきました。

視聴会には初めての参加で、ある意味、音工房Zの音にちゃんと触れる初めての機会でした。

正直、音工房Zと自作スピーカーについては、Webで読んで見てみる限り、まだ色々と疑問があったので「まずは自分の耳で聴いてみろ」ということで試聴会に参加したわけです。

音工房Zの本社は、東武鉄道伊勢崎線の草加駅から徒歩15分ほどの閑静な住宅街にあります。

3階建ての落ち着いた感じの建物ですね。音工房Z

階段で2階にあがっていくと、靴を脱いでスリッパに履き替え、待合室に通されます。

新型コロナウイルスの影響で、1時間に4人ずつの少人数での試聴会となっていました。

予約時間になったら試聴室に呼ばれます。

試聴室にはいくつものスピーカーが所狭しと並んでいて、今回メインで視聴するスピーカーであるZ701-OMMF4を中心に、Z701-Modena(V5)、3.7リットル小型エンクロージャー & Mark Audio OMMF4の3台が鎮座しています。音工房Z Z701-OMMF4とZ701-Modena(V5)、3.7リットル小型エンクロージャー & Mark Audio OMMF4

ネットで見たことのあるスピーカーがたくさんありました。

フラグシップモデルのZ800-FW168HR+Z505-TrentoS
音工房Z Z800-FW168HR V2.6

バックロードフラッグシップ Z1000-FE168NS音工房Z Z1000-FE168NS

オリジナルツイーターとオリジナルケブラーコーンウーファーを搭載した 完成品Z1-LivornoS
音工房Z Z1-LivornoS

限定版 Z1000-FE108Sol音工房Z Z1000-FE108Sol

FOSTEX70周年モデルFE103A専用BHBSエンクロージャー Z1000-FE103A音工房Z Z1000-FE103A

スーパーツイーターのZ501/Z502音工房Z スーパーツイーターのZ501/Z502 音工房Z スーパーツイーターのZ501/Z502

最初に音工房Zのスタッフさんから説明があって、代表の大山さんもいらっしゃっいました。

大山さんボクとほぼ同い年のようですが、自作スピーカーに興味のあるユーザーの中では比較的若い方かと思います。

今回、試聴会に参加していた他のユーザーさんは、やはりやや年齢層が高かったですね。

まあ、最近の若者はスマホとイヤフォンで音楽を聴くのが主流でしょうからね…。

視聴では自分の好きなCDが聴けるので、今回はMariah CareyやTLC、Destiny’s Childなどの女子ボーカル色が強いR&BのCDを持参しました。
まあ、普段はクラシックなども聴くんですけどね。

視聴ではリモコンで操作できるスピーカー切替器「ソフィソナント・オーディオ製スピーカー能率補正機能付スピーカー切替器Ver2. 基本セット」を使って、自分の好きなタイミングで自由にスピーカーを切り替えながら聴けます。

視聴する際に使うパワーアンプは Accuphase のA35、スーパーオーディオ CDプレーヤーはDENONDCD-1600NE
アンプは定価40万円程度、スーパーオーディオCD プレーヤーは定価12万円程度のミディアムクラス。音工房Z 音工房Z

まずは音工房Zではおなじみ??のスピーカーから。

1. Z701-Modena(V5) 39,800円
8cm Z-ModenaMK2 フルレンジ一発 BHBS(バックロードバスレフ)音工房Z Z701-OMMF4とZ701-Modena(V5)、3.7リットル小型エンクロージャー & Mark Audio OMMF4

バックロードホーンは聞いたことがあるけど、バックロードバスレフをちゃんと聴いたのは初めて。

確かに8cm一発のフルレンジとは思えないほどの低音感で全体的なバランスもいい。
ただ、少しポコポコと箱鳴りしている感じがしますね。

バックロードっぽいというよりはフルレンジっぽい音と言えばいいのかな…。

しかし、低音は50Hzあたりもしっかり出ていて全体的な完成度は高く、音工房Zのベストセラー商品として納得できるクオリティだと感じました。

間近でみても、仕上げもキレイですね。

音工房Z Z701-Modena(V5)

2. Z701-OMMF4 39,800円(ユニットとスーパーツイーターは別売)
Mark Audio OMMF4 6cmバーチカルツイン BHBS音工房Z Z701-OMMF4とZ701-Modena(V5)、3.7リットル小型エンクロージャー & Mark Audio OMMF4音工房Z Z701-OMMF4 39,800円

今回の試聴会の主役。

Z701-Modena(V5) にはフルレンジ1発の良さがあるとは思うけど、Z701-OMMF4のほうがワンランク、ツーランクの上のクオリティと感じましたね。

単に低音が出てるという感じではなく音に厚みがあって、40Hz〜50Hzあたりも十分出ている。

全体的にまとまり感があるのは…
バーチカルツインの効果なのか?
スーパーツイーターの効果なのか?
エンクロージャーの作りなのか?
ユニットの差なのか?
…と、どの要素がこのスピーカーに強く良い影響、良い効果を与えているのかはわからないけど、なかなか凄いスピーカーだと感じました。

スーパーツイーターがどれぐらいの効果を発揮しているかは、正確にはスーパーツイーターありなしでしっかりと比較しないとわからないけど、音工房Zはスーパーツイーターを使うことで20KHz以上のハイレゾ領域を強化するのではなく、8KHz~20KHzまでの可聴域の音質が向上すると考えているそう。

スーパーツイーターは全ての音の輪郭を縁取る…という感じで、ハイレゾ域だけでなく、全体の音域に対して画像で言うところのシャープネスを上げるような効果があります。

Z701-OMMF4はスーパーツイーターを使っているとは言え、
これならできる特選スピーカーユニット 2020年版マークオーディオ編: 特別付録:マークオーディオ製6cmフルレンジ・スピーカーユニット
という雑誌の付録で、2本で5,995円という値段のスピーカーユニットを使っていてここまで良い音質を実現できることにかなりビックリ。

雑誌の付録ですよ。たかがと言っては何ですが、雑誌の付録。

Z701-OMMF4を構成するパーツは
・エンクロージャー 39,800円
・スーパーツイーター 5,980円
・OM-MF4 2ペア 計4本 11,990円
となっていて、スピーカーペアとするには合計57,770円となります。

まあ、これは値段以上の価値があると断言できますね。

完全ブラインドテストをしちゃうと、ペア50万円以上の高級スピーカーと言われても自分は騙されてしまうと思います。笑

Z701-OMMF4の仕上げもキレイでした。音工房Z 自作キット Z701-OMMF4

せっかくの機会なのでスタッフさんにお願いしてZ1-Livorno ペア54,800円とも比較させてもらいました。音工房Z Z1-Livorno

このZ1-Livornoはオリジナルのツイーターとウーファーを搭載して54,800円というプライスなんですが、あのB&WのブックシェルフスピーカーのNautilus 805をベンチマークにし、そしてライバルとしているという意欲的なモデル。

Nautilus 805は発売から20年以上経過したモデルとは言え、その実力はいまでも色褪せることはない一級品です。

しかも、最新のB&W805D3(ペア90万円)とも比較ブラインドテストをしていて、なかなかいい勝負をしているというから面白いじゃないですか。詳しくはこちら

Z1-LivornoとZ701-OMMF4を比較したところ、音の新鮮さがZ701-OMMF4のほうが音が新鮮…というか音圧が高く、全体的にはZ701-OMMF4のほうが音質が良いように感じました。

Z1-Livornoだと、ちょっとべールのような膜がかかったように聞こえてしまったんですよね。

もっとも、ちゃんと比較するには音圧を合わせたり、ブラインドにしたりして、正しくZ1-Livornoを聴いてみないと答えは出ないですが…。

ボクはまだスピーカーを自作したことが無いので、まずは入門機のV601(V2)を実験的に組み立てる予定でした。

その後、Z701-Modena(V5)→Z1-Livornoと進む予定だったので、計画を練り直す必要がでてきましたね…。

また、Z800-FW168HR V2.6という自作キットでペア199,400円もする高価なスピーカーも聴かせてもらいました。音工房Z Z800-FW168HR V2.6

Z800-FW168HR V2.6とZ701-OMMF4も比較視聴したところ、明らかにZ701-OMMF4が負けている、とは決して言い切れないことに驚きました。

確かにZ800-FW168HR V2.6は全体的に音質もバランスも良く、ネットワークも含めてうまく調教されているように思います。

ただ、Z701-OMMF4とZ800-FW168HR V2.6比べてみてどちらが上かと言われると、自分が短い時間で視聴した感じだと「どっちを選ぶかということ、好みでいいんじゃない?」と感じてしまいましたね。

3.3.7リットル小型エンクロージャー & Mark Audio OMMF4
Mark Audio OMMF4 6cm + BHBS音工房Z 3.7リットル小型エンクロージャー & Mark Audio OMMF4 Mark Audio OMMF4 6cm + BHBS

ユニットは「2」と同じ、雑誌の付録のマークオーディオ製6cmフルレンジを使用。

中高音は良いが低音が出ないのは、3.7リットルのエンクロージャーであれば仕方ないかな。
箱のサイズから考えれば十分。

ありきたりの感想だけど、ニアフィールド、デスクトップオーディオとして使うならアリ。

結論、Z701-OMMF4に関しては欲しいとは思うけど、組み立てに自信がないのと、色々事情もあって11月15日までの決断は難しい…と思ってましたが、あえなく注文の時間切れとなりました。

あとから、注文しておけば良かったかなーとも思いますが、まあ、今回はご縁が無かったという感じにしておこうかと思います。

限られた時間での視聴でしたが、正直Z701-OMMF4は想像以上に良いスピーカーだという印象を持ちました。

Z701-OMMF4は自作に抵抗が無い人、フルレンジ1発至上主義者、またはバーチカルツインに嫌悪感がある人以外のユーザーにはぜひぜひオススメしたいと思いましたね。

ただ、今回の視聴会で聴いたスピーカーはどれも定位が弱い気がしました。
目を閉じると、左右のスピーカーのド真ん中からボーカルが立って見える…みたいな感じはあまりしなかったかなー??

いや、フルレンジ1発は定位感が悪いっていうのは無いはず…。左右スピーカーの距離を縮め、もう少し近くに寄ったりと自分が納得できる環境で聴いてみたいです。音工房Z 視聴環境

試聴会が終わったあと、1階にあるスピーカー制作している工場も見せてもらいました。音工房Z

音工房Z

音工房Z

音工房Z

音工房Z

想像していたよりもしっかりとした工場という感じで、どの製品も丁寧に作られていました。

ここでは公開できませんが、自作の制作マニュアルも思った以上に親切丁寧に作られています。

スピーカーひとつ作るにしても、いろいろ測定して、常識にとらわれない実験をしているもの面白いし、チャレンジングな精神はとても好感が持てます。

国内のスピーカーメーカーで言うと、YAMAHA、ビクター、ケンウッド、DENON、ONKYO、パイオニア、DIATONE、ECLIPSE、SONY、TEACと言った大手メーカーの製品がありますが、実際にそれらのメーカーが、どれだけちゃんと真摯にスピーカーと向き合って設計、製造しているのか…と考えると疑問があります。

全部のメーカーが駄目とは言いませんが…。

確かに大手メーカーならではの技術や部品の調達ルートなどがあるでしょうが、やれ、マホガニー材を使いましたとか、ピアノ調の高品質なフィニッシュに仕上げました、とか、そういう素材やどうでもいい外見にこだわっている…というか、素材に逃げていて、中身の設計はちゃんとしてるんかいな?っていうスピーカーも少なくないです。

大手メーカーのサラリーマンが適当(失礼)に作ったスピーカーと、音工房Zのように素人的な発想(失礼)を元にいろんな研究をして頑張って作っているスピーカーのどっちが音が良いかっていうと、そりゃ頑張って作っているほうが音が良くなりますよね。

ピカピカに光り輝く工芸品や家具が欲しいのなら、それこそもっと立派なタンスや戸棚を買うとか、最高級の庵治石(あじいし)でできた墓石でも飾って眺めていたほうが、キレイで高級感はあるかと思いますが…ね。

今回の試聴会と会社訪問を通して、自作スピーカーと音工房Zに未来を感じることができました。

それだけに、言葉を選ばずに表現すると、ホームページの情報商材っぽい胡散臭さが無くなって欲しいと思います。誤字脱字もよく見直して…。

また、音工房Zには若年層の取り込みも考えて、PCオーディオやネットワークオーディオの組み合わせだけなども紹介してもらえることを期待したいです。

ボク自身は、この先、自作スピーカーを長く付き合える趣味として、慌てずにやっていこうと思います。

いつか音工房Zと他社スピーカーも含めたブラインドテストの試聴会などあれば是非参加してみたいですね。

さて、この話題はまだまだ続きます…。
続きはこちら

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