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カーインプレッション Audi A5 Sportback

Audi A5 Sportback
華麗なスタイリングながら、4ドアセダンの実用性、ワゴンの拡張性をもったマルチパーパスなスポーツクーペ。

搭載されるエンジンは、Audiご自慢のTFSI。
直列4気筒2000ccをターボ加給する。
最近流行の小排気量+加給エンジン=低燃費、低エミッションな心臓だ。
最高出力155kW (211ps)/4,300~6,000rpm 、最大トルク350Nm (35.7kgm)/1,500~4,200rpmで、2,000ccながらブ厚いトルクで、比較的大きく重いボディを忘れさせるように、驚くほどクルマをガンガンと走らせてくれる。

メーカーが言うとおりターボのクセはほとんど気付くことは無く、3,500cc相当のNAエンジンを上回るようなトルク感がある。

トランスミッションは、常識となりつつある7速Sトロニック、ダブルクラッチトランスミッションだ。
低燃費を狙ってか、街乗りで50km/hぐらいまでにはすでに6速あたりまでシフトアップされる。シフトショックはほとんど感じない。
ハンドルに取り付けられているパドルシフトを使えば、まるでゲーム機のようにカチカチと小気味よくシフトアップ&ダウンしてくれる。
シフトをSモードに入れると、シフトダウン時に気持よくブリッフィングしてくれ、運転が上手になったような錯覚がする。

Audiの代名詞とも言えるクアトロシステム(4WD)は、ステアリングにトルクをあまり感じさせないセッティングで、ステアリング・インフォメーションも上々。
変にアクティブコントロールなどを使った最近のBMWのステアリングフィールよりは好ましく、昔のBMWのMスポーツ系に似た感覚だ。

高速走行もクアトロのおかげで安定しているが、ぬおわkm/hを超えたあたりから少し挙動が不安定になるものの、ふわわkm/hぐらいまではロードノイズ、風切り音も少なく、メーターを見て出ている速度に驚くほど。

このA5 Sportbackは通常では十分な剛性感が感じられるものの、プレスドアではなく、ピラードハードトップかつハッチバックのため、リア周りの剛性が弱くなっていると思われる。
高速走行時の挙動の不安定さはここに原因があるのかもしれない。また、リアスポイラーがついていないのも不安定な原因かと思われる。
もっとも、日本の法定速度+αで走行する分には全く問題は感じられないが。

タイヤは最近のクルマはどれもそうだが、扁平率が低く、コツコツとハーシュネス(突き上げ)が多少気になる。

一番ネガティブに感じたのが、低速域での回生ブレーキのフィーリング。
超低速で走行中にアクセルを離すと、まるで誰かにサイドブレーキをひかれたかのような不思議な減速感を覚える。

室内のクオリティは評判通り高いが、操作性としてはすこしゴチャゴチャした感じがする。
ナビも普通に使えるが、もう少しシンプルなインターフェイスのほうが望ましい。

個人的には4WDもターボもあまり好きではないが(FR、NAが好き)スタイリングと使い勝手などトータルでは非常に良いクルマだと思う。
背の低いワゴンのようにも使える、実用性十分なスポーツクーペだった。
少しお高いのが、玉にキズ。