データ・ディスクマン(電子辞書)

データディスクマン DD-1

データ・ディスクマン Data Discman DD-1 SONY 価格58,000円 (1991年当時の価格)

【 8cmCDに辞書5冊分という驚くべき、超高速記録密度の情報源「電子ブック」 】
 1990年夏、電子ブックプレーヤー「データディスクマン」の発表会は興奮に包まれた。わずか8cmのCDに辞書5冊分の情報が収録され、それをスピーディに、また機能的に引き出せるというのだ。翌日の新聞にも報じられ話題を呼んだが、発売日である同年7月1日にショップに出かけた人は手にいれることもできなかった。すでに数ヵ月分のバックオーダーが溜まっていたのである。発表日は”電子出版”が広く認知された記念すべき日となった。
 電子ブックはすでに多くのタイトルが発売済みだが、まずはポピュラーな『広辞苑』を引いてみよう。たとえば「髷」を引きたいならキーでMAGE、と入力する。ワープロが打てれば簡単。すると「まげ、曲げ、髷・・・」と候補が現れるから髷を選べば「髪を頂につかね・・・」と出てくる。所要時間は本の辞書を引くのと変わらない。便利なのはここからで、『後方一致』という引き方なら「--髷」という言葉が全部リストアップされるし、複合検索、条件検索はいくつかの条件に合ったものを引き出せ、ソフトによってはメニュー検索や参照検索も使える。こういう引き方は本にはできない。
 『広辞苑』や『現代用語の基礎知識』といった辞書は役にはたっても、それほど面白いものではない。電子ブックにはもっと面白いものがいっぱいだ。カタチやカプセルの色などを選んでゆくと医者がくれた薬の種類がわかる『ピルブック』、タイトルからも演奏者からも引ける曲の解説つき『CDブック』(4種)、歌詞や歌手、デュエットなど歌い方からも引けてカラオケに便利な『あのうたこのうた3333曲』、温泉、海など希望を入れるとお勧め観光地がみつかる『宿泊情報』などなど、とても書ききれない。そこで、気になる値段の方だが、『広辞苑』が7,725円(税込)、『現代用語の基礎知識』が3,914円(税込)だから、本スタイルと比べてもリーズナブル。すでにあちこちの編集部で活躍中だ。

今井今朝春、「世界の傑作品」、モノ・マガジン、第10巻第20号(通巻200号)、1992年10月2日、69ページ


2010年現在、電子辞書はテレビショッピングにも登場するほど、市民権を得ている。
まさに子供から老人まで使う、辞書を多用する人にとっては生活必需品のモノだろう。

ボクは、中学生の頃、この初期型データ・ディスクマンを発売日に親に買ってもらった。勉強もしないのに。(笑)
データ・ディスクマンが”電子出版”を広めたとは思わないが、電子辞書としては容量は少ないものの、ある程度完成した画期的な商品だったことには間違いない。

データ・ディスクマンを電子辞書とするならば、CD-ROMタイプからメモリタイプなり、小型軽量化、カラーディスプレイに100種類ものコンテンツが詰め込まれた今の電子辞書は成功した商品だ。

広辞苑の辞書の価格を比べてみたいが、現在の電子辞書はほぼ広辞苑が標準搭載されているので、単純比較ができない。
データ・ディスクマン(辞書5冊)と広辞苑ディスク(7,725円)の合計額が65,725円、シャープの広辞苑収録の安いモデルで15,000円程度なので3/4以上のプライスダウンといったところか。
ただ、 iPhone版の広辞苑が8,500円なので、電子版広辞苑としては、性能向上を考慮しても価格にはあまり変化は無いのかもしれない。
データ・ディスクマン用のブリタニカ国際大百科事典Discは一枚で100,000円もした。

残念ながら、現在SONYの電子辞書は生産完了となり、カシオ、シャープ、SIIの商品が圧倒的シェアを占めている。
各社、ビジネス用、学習用など様々なユーザ向けの商品を出しているが、ボクの おすすめの電子辞書はシャープ製のものだ。

一方、データ・ディスクマンを電子出版のツールとしてみれば、時期早尚であっただろう。
画面が小さく、容量も小さいので仕方ないと言えばそれまでだ。

また、インターネットでの検索で色々と調べられる現代、Wikipediaも百科事典のひとつとすればライバルになるか?

日本では、2010年が電子出版元年と言っても過言では無く、iPadで火がつくのか、Kindleになるのか、もしくはそれ以外のデバイスか・・・わからないが、目が離せない分野になるだろう。

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