Wi-FiルータやタブレットをNASっぽく利用するための速度調査

動画や画像、写真などを家庭内のネットワークを使って共有し、iPadなどのタブレットや複数パソコンで見る場合にどれが1番速くて使いやすいか調べてみました。
※いろんな規格の速度の違いは「各規格の転送速度を調べてみたよ」をご参考ください。

ストレージにあるデータを共有して、タブレットやパソコン、テレビ等で利用するためには、普通の家庭などではNAS(Network Attached Storage)を活用するのが一般的には良いかなと思います。


しかし、NASという製品は一見便利な反面、
・メーカーによっては利用できるファイルの拡張子が限定される場合がある
・速度が遅い
・機能に制限がある
・値段が安いとは言えない
という欠点があるように思います。
とくに気になるのは拡張子の部分で、ちょっと変わった圧縮ファイルが使えなかったり、Flac等の音楽ファイルが使えないケースもあります。

ごく一般的な利用方法であればNASでも良いと思うのですが、ちょっと変わったことをするとなると、NAS以外のサーバなどの構築を考えなければなりません。

そこでちょっと注目したいのが、最近のWi-Fiルータにあるファイル共有機能。

Wi-FiルータにUSB3.0/2.0の端子がついていて、このUSBにUSBメモリやHDD/SSDなどのストレージを接続することで簡易NASとして使うことができます。

しかし、各社のWi-Fiルータを調べてみたところ、
・フォーマット形式に制限がある(NTFSが使えない)
・ストレージ容量に制限がある
・1ファイルあたりのサイズに制限がある
といった問題があります。

こういう制限があると、ちゃんとしたNASではなく「簡易NAS」と言わざるを得ませんね。

これは技術的な問題というよりは、NASを売るための販売戦略的なみみっちい制限だと思います。
昔、Blu-ray/DVDレコーダーを売るために、テレビへのUSBハードディスクの接続を制限していたものと同じですね。

各社のハイエンドWi-FiルーターのNAS機能の違いを表にしました。

  NECプラットフォームズ Buffalo ASUS NETGEAR
  Aterm WG2600HP2 WXR-2533DHP RT-AC3200 R8500/R8000
    16,000円 19,800円 26,369円 45,000円/23,310円
インターフェイス USB 3.0 1 1 1 1
USB 2.0 1 1
eSATA
複数台接続(USBハブ) ◯(USB2.0のみ)
基本機能 対応フォーマット FAT16/FAT32 FAT16/FAT32/XFS/EXT4 FAT16/FAT32/NTFS/HFS+/
EXT2/EXT3/EXT4/
FAT32/NTFS/EXT3
HDD容量 2TB 2TB 4TB 4TB(4TB~未確認)
http://kb.netgear.com/18985/ReadySHARE-USB-Drives-Compatibility-List
1ファイル容量 2GB 2GB(FAT32)/2TB(EXT4) 4GB(FAT32)/8GB(NTFS) 4GB(FAT32)/2TB(NTFS)
写真 jpeg、jpg  
png
     
音楽 lpcm、lpcm1、pcm
リニアPCM(サンプリング周波数: 44.1kHz, チャンネル数: 2chに対応)
lpcm2
リニアPCM(サンプリング周波数: 44.1kHz, チャンネル数: 1chに対応)
lpcm3
リニアPCM(サンプリング周波数: 48.0kHz, チャンネル数: 2chに対応)
lpcm4
リニアPCM(サンプリング周波数: 48.0kHz, チャンネル数: 1chに対応)
mp3
MP3
3gp、mp4、m4a、adts
AAC
wma、asf
     
動画 mpg、mpeg MPEG1/MPEG2
wmv、asf
Windows Media Video
mp4、3gp、m4v、f4v MPEG4 AVC/H.264
mts,m2ts,ts
デジタルハイビジョンビデオカメラ
mov
QuickTime 6以降
flv
     
複数パーティション × ○(4まで) ○(8まで)
ドライブフォーマット ○ (FAT32) × ×
ユーザー認証
ユーザー数 単一(個別設定) 複数(16) 複数 単一(管理者)
アクセス制限 RW/RO RW/RO RW/RO RW/RO
共有フォルダー新規作成 × ×
付加機能 メディアサーバー ○(DLNA) ×
iTuensサーバー × ×
FTP × ×
ブラウザ対応 ブラウザアクセス ○(port=15789) ×
ダウンロード/アップロード × ダウンロードのみ
複数ファイル選択 × × ×
TimeMachine対応
メディア再生 × × ○(VLC利用) ×
モバイル対応 アクセス ×
アプリ × × △(FTPなら)

今回テストしてみたのは、NETGEAR 無線LAN ゲーミングルーター 親機 11ac/a/b/g/n 1300+1300+600Mbps ビームフォーミングプラス対応 トライバンド・ギガビットルーター Nighthawk X6 R8000-100JPS

NETGEAR Nighthawk X6 R8000-100JPSにはUSB3.0ポートとUSB2.0ポートがひとつずつついていて、ワイヤレスでストレージの共有ができます。

簡易NASにありがちな、ストレージフォーマット形式、ストレージ容量、1ファイルのサイズにも制限が少なくて条件としては悪くないです。

ちなみに、ルーターの通信系の速度は
普通のLAN(100BASE-TX) 100Mbps 12.5MB/s
ギガビットイーサネットネット 1Gbps 125MB/s
USB2.0 480Mbps 60MB/s
USB3.0 5Gbps 625MB/s
という風になっています。

速度は理論値ですが、1Gbps(1000Mbps)のギガビットイーサネット対応ルーターの場合、ストレージをUSB2.0に接続すると十分にギガビットイーサネットの速度を活かせないことになります。

テストに利用したPCはWin10の自作機。
CPU Intel core i7 4790T
メインメモリ 16GB
SSD SAMSUNG MZHPV256HDGL 256GB(Ultra M.2/PCle Gen3x4)
Windows10 Pro 64bit

このUltra M.2/PCle Gen3x4のSSDだと、転送速度は2,200MB/s(17.6Gbps)を越えます。

一般的なSATA3のSSDの速度はだいたい550MB/sぐらいが限度。
まあ、550MB/sもあれば十分に速いとは思いますが、1度速いものを使うとなかなか元には戻せないのが人間でして…。

そもそもで言うと、上記のWin10デスクトップの中のSSDを共有フォルダにして使っても機能的には問題はありませんが、デスクトップパソコンを常時起動するサーバとして使うのはちょっと気が引けます。
Core i7 4790Tという低電圧CPUで、TDP(熱設計電力)が45Wと比較的省電力であっても、それなりに熱も持ちますし。

ということで、NETGEAR Nighthawk X6 R8000-100JPSの速度テストです。
利用したソフトはCrystalDiskMark 5.2.1 x64。

Wi-FiルータやタブレットをNASっぽく利用するための速度調査

Seq Q32T1のRead数値は63.75MB/sと速くもありませんが、遅くもありません。
ファイルの制限なども少なく使い勝手はいいです。

しかし、さすがにNAS専用機ではないためか、同時に複数の端末からファイルを読もうとするとフリーズします。
CPUとメモリが貧弱なのでしょうね。

さらに、NETGEAR Nighthawk X6 R8000-100JPSはサイズが大きく、消費電力も最大42.94Wとかなり電力を使い、発熱も凄いです。

Wi-Fiルーターのファイル共有機能を使うのには、手間とサイズと消費電力を抑えるのがひとつの目的なのですが、サイズと消費電力がネックになるのであれば、ファイル共有目的でNETGEAR Nighthawk X6 R8000-100JPSを使うメリットはあまりありません。

じゃあRaspberry Pi3ででもNASを作ってみようかな?とも考えていました。

が、そもそもRaspberry Piを使ったNASではそこまで速度がでないことがわかっていました。
こういうNASのようなファイル共有機能って、意外とCPUパワーとメモリを必要とするんですよね。

でも家庭内にWindows/Linuxサーバを作るっていうのはちょっとなんだか敷居が高そうです。
もしWindows or Linuxのサーバを作るとなると、IntelのNUCなどが小さくて高性能で省電力で良いと思うのですが、ちょっと費用は高くなりますね。

例えば、Intel NUC Core i3-6100U @2.3GHz 搭載 小型PCベアボーン 2.5インチ M.2 SSD対応 BOXNUC6I3SYHぐらいだと本体は33,815円。

CPUの性能を示すベンチマークであるPassmarkは、3,881と結構高速です。
メモリ、SSDは別ですので…、

Intel NUC Core i3搭載 小型PCベアボーン 33,815円
PCL-12800 8GB×1枚 1.35V対応 SO-DIMM 6,840円
2.5インチ SSD MX300 275GB 12,796円
合計 53,451円

とかなり高額になりますね。
Windows10を使うならば、OS代としてプラス12,742円が必要になります。
※Passmarkの一覧はこちら

どうしようかなと思っていたら、「おや、そういえば使っていないタブレット CHUWI Hi12があるな…」ということで、Windows10が動くタブレットをサーバ/NASのように使ってみようという実験をしてみます。

Chuwi Hi12 タブレット PC Windows10/Android5.1 12インチ 2160*1440 Intel Atom x5-Z8300 @ 1.44GHz クアッドコア メモリ 4GB ROM 64GB

Windows10とAndroidが動く中華タブですが、あまりにもタッチパネルの精度が悪く、動作もモッサリしていて、かつ重量もあるので使わなくなってしまい、その辺でホコリを被っていました。
これにUSB3.0のUSB-LANアダプタを付けて、有線LANでファイル共有を使ってみます。
なお、CPUベンチマークのPassmarkは1,202と貧弱です。

Wi-FiルータやタブレットをNASっぽく利用するための速度調査

Seq Q32T1のRead数値は41.52MB/sと遅いです。
まあ、ハイビジョンの転送速度は例えばBSデジタルで24Mbps(3MB/s)、地上デジタルで17Mbps(2.125MB/s)程度なので、Hi12に入れたハイビジョン動画をiPadから観ることはできます。
が、やはりCPUがチープなので全体的にモッサリと遅いですね。

約30,000円程度と値段は安いのですが、タブレットとしてもNASとしてもストレスが貯まることが多く、活用するのはなかなか難しい製品です。

お次はChuwi hi13 タブレット PC Windows10 Intel Celeron N3450 @ 1.10GHz クアッドコア メモリ4GB ROM 64GB

Hi12の上位機種のWindows10が動く中華タブレットですが、タッチパネルの精度と動作も改善されていてなかなか使えるタブレットです。
なにより、Surface Bookと同じ13.5インチの大画面IPS液晶なので、マンガなどのコンテンツの閲覧が見やすいです。
CPUのベンチマークのPassmarkは1,764とそこそこです。
これにUSB3.0のUSB-LANアダプタを付けて、有線LANでファイル共有を使ってみます。

Wi-FiルータやタブレットをNASっぽく利用するための速度調査

Seq Q32T1のRead数値は103.01MB/sとなかなかのスピード。
通常の利用にはあまりストレスも感じず、初心者のタブレットとしてはなかなかバランスが良いモデルだと思います。
45,000円程度なら安いと言えるでしょうね。

お次は、HP EliteBook Folio G1 Windows10 Pro 64bit Intel Core m5-6Y54 @ 1.10GHz 8GB SSD256GBです。

12.5インチで世界でもっともコンパクトなノートパソコンで、タッチパネルは無いものの、かなり使いやすいです。
CPUのベンチマークのPassmarkは3,288と実用的な速度が出ています。
これにUSB3.0のUSB-LANアダプタを付けて、有線LANでファイル共有を使ってみます。

Wi-FiルータやタブレットをNASっぽく利用するための速度調査

Seq Q32T1のRead数値は101.7MB/sとなかなかのスピード。
Writeの速度も100MB/sを超えます。
しかし、実売130,000円程度なので、ノートパソコンとしても高い部類ではあります。
これをNASの代わりに使うのはもったいないです。

最後にLenovo T430 Windows10 Pro 64bit Intel Core i5-3320M @ 2.60GHz メモリ8GB SSD240GBです。

結構前の第3世代CPUを積んだ2011年に発売されたノートパソコンですが、性能はいまの最新のノートパソコンと比べても遜色ありません。
その証拠にPassmarkは4,066と、今回の調べた他のノートパソコンやタブレットの中でも最速です。
本体にギガビット・イーサネットLANを内蔵しています。
値段は2017年6月5日現在だと、中古は秋葉原などでだいたい32,184円です。
第3世代Core i5、メモリ8GB、SSD240GBで30,000円ちょいなら激安だと思います。

Wi-FiルータやタブレットをNASっぽく利用するための速度調査

Seq Q32T1のRead数値は117.6MB/sとハイスピード。

ちなみに、新しいCPUでも速度はあまり大幅に変わっていませんが、消費電力が従来の半分以下になっています。
Intel Core i5-3320M(第3世代 2011年) 2.6GHz-3.3GHz 2Core4Thread TDP 35W Passmark 4,066
Intel Core i5-7200U(第7世代 2016年) 2.5GHz-3.1GHz 2Core4Thread TDP 15W Passmark 4,702

この117.6MB/sという数値、ほぼギガビットイーサネットネット 1Gbps 125MB/sの理論値に近いくらい速いです。

そう、家庭内LAN、NASにおけるの速度のボトルネックはギガビット・イーサネット1Gbps 125MB/sにあります。

例えば、BuffaloのNASの上位機種であるLS510Dシリーズの場合、メーカー公表実測値で100MB/sとなっています。

I-O DATAのHDL2-AAシリーズではデュアルコアCPU搭載でも最大116MB/sとなります。

超高速っていう専用NASであっても、やはり速度はソコソコなんですよね…。

例えば、Synology ウルトラハイスペック 4Kトランスコード搭載 2ベイNASキット DS716+IIなどの高級NASであれば、デュアルLANでリンクアグリゲーションを使えば、スループットを2倍にすることができます。

DS716+II は平均読み取り速度 226.1 MB/秒、書き込み速度 141.19 MB/秒程度と、ギガビットイーサネットの単純に倍の速度で利用することができます。
このクラスの高性能NASになると、CPUもパソコンと同じもので、Intel Celeron N3160 @ 1.60GHz(Passmark 1,694)を使っています。

Synologyが採用しているOS「DSM」(DiskStation Manager)は、LinuxをベースにGUI操作を可能にした同社独自のOSで、RAIDが使えたりスケジュールでバックアップしたりする機能にとどまりません。
高機能NASではストレージのホットスワップやデータの暗号化、さまざまなパブリッククラウドサービスと連携も可能で、システム管理者が居ない事業所でのファイルサーバの代わりなどには便利かと思います。

また、さらに上のLANの規格の10Gbps(1,250MB/s) IEEE 802.3an(10GBASE-T)、2.5Gbps(312.5MB/s)/5Gbps(625MB/s) IEEE 802.3bzが使えるNASも出てきてます。

例えば、BuffaloのTS5410DNシリーズ

この機種であれば、4ベイ RAID5 だと読み取り 326.6MB/s、書き込み 351MB/sぐらいの速度は出るみたいです。
でも10Gbpsになっても単純に速度が10倍にはならないようですね。

結論としては、
初心者ユーザは、2万円~3万円の普及版NAS Buffalo LS510Dシリーズ I-O DATA HDL2-AAシリーズ
中級マニアックユーザは、4万円前後のWindows10タブレットをファイルサーバ(NAS)化 Chuwi Hi13
上級プロユーザは、5万円~15万円程度の高機能NAS Synology DiskStation DS716+IIBUFFALO TeraStation TS5210DNシリーズ
ぐらいを使うことで幸せになれるんじゃないかなーと思います。

  NAS ルーター共有 PC共有 サーバ
セキュリティ
消費電力 × ×
コスト ×
速度 ×
容量 ×
安定性
拡張子
運用性 ×
拡張性 ×

まあ、Windowsタブレットをファイルサーバとして使うのは、WindowsUpdateがあったり、ウイルス対策ソフトを導入したりとなかなか面倒で手間もかかりますし、耐久性も保証されていないですけどね。

ということで、家庭内でコンテンツを共有するのに1番いい方法はもう少し深掘りしていきたいと思います。

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