地上デジタル放送がもたらすもの?

あなろぐま
地上アナログ放送の終了まで、あと1年と少々になった。
モチロンこれまでのアナログテレビでは、テレビが見られなくなる。

地上放送のデジタル化は、様々なメリットがあるという。
放送と通信の融合?
それはなにか?


本日、大手広告代理店のニュースリリースで以下のような文言があった。

「地上波デジタル放送への完全移行やiPadの発売に象徴されますように、生活者にとってデジタルメディアは生活に欠かせない存在となってきており、、、」引用

はっきり言って、「地上デジタル放送」自身はデジタルメディアとは関係ない、と思う。
それは放送波がアナログかデジタルかとは関係無いということ。

もちろん、画質も音質もハイビジョンになって良くなるし、総務省が考えるデジタル化による電波の効率化を否定するつもりは全く無いし、今更アナログテレビを買う必要なんてない。

しかし、総務省の地上デジタル放送っなに?を引用して考えてみる。
1.ゴーストがなくなります!

これは正解。ただし、地域によってはUHFアンテナを新設しなくてはいけない場合や、全く見れなくなる地域やブロックノイズで画面が止まったり荒れたりするケースがある。

2.デジタルハイビジョンが楽しめます!

これも正解。高画質、高音質のテレビ放送が楽しめる。ただし、地上デジタル放送は「フルハイビジョン」ではない。

3.1チャンネルを分割して2~3番組の同時放送も可能です!

放送局が対応しきれないと思う。コンテンツ不足、3番組流すコストは大きいはず。しかも、3番組にするとハイビジョン画質では無くなる。

4.高齢者や障害がある方にやさしいサービスが充実します!字幕放送が楽しめます!解説放送も楽しめます!音声速度も変えられます!

字幕放送や解説は高齢者や耳の不自由な方には良い。ただし、音声速度を変えるのはデジタル放送だからではなく、テレビ受像機の機能の問題。

5.いつでも、ニュースや天気予報などの情報が見られます!

簡易的なニュースや天気予報は見られるので良い。

6.クイズやアンケートなど番組への参加が可能になります!

これは双方向サービスのことだろうが、電波のデジタル化と関係ないのでは?
まあ、データ放送を使った青、赤、緑、黄色のボタンで双方向を実現できるが、利用するためには電話回線やインターネットと別途接続しなければならない。

7.電子番組表(EPG)で、当日から1週間先までの番組情報が見られます。

これもデジタル放送で標準化されたが、アナログ放送でも電子番組表を利用できる機器はある。

8.5.1chサラウンド

これもハイビジョンと同じく高音質化のひとつだが、5.1chの装置がある家庭は少なく、放送されるコンテンツもわずか。

9.携帯などで地上デジタルテレビ放送が見られます!

これは別にデジタルで無くても昔からアナログの携帯型のテレビはあったし、ワンセグ放送はあくまでデータ放送のひとつで、フレームレートも15フレーム/秒とカクカクと簡易動画。

もうひとつ、重複する部分もあるが、国政モニターの回答を考察してみる。

地上放送のデジタル化によって、我が国の4,700万のほぼ全世帯に普及している約1億台のテレビが、家庭における簡便なIT端末に変化し、家庭におけるIT革命が進んでいくと考えています。
具体的には、例えば、

(1) 紀行情報番組で、気に入った温泉宿をクリックすると、インターネットに連動して予約するといったインターネットと連携したサービス

電波のデジタル化とは無関係。テレビ受像機の高機能化(ネット端末化)によるもの。

(2) ハイビジョンなどの高品質な映像・音声サービス

これはデジタル化ならでは。

(3) セリフの速度が調節可能になるなど、お年寄りにやさしいサービス

テレビ受像機の高機能化によるもの。

(4) 自動車等でクリアな映像が受信可能になるなど、安定した移動受信の実現

ゴーストなどは無くなるが、移動するとブロックノイズなどが増える。またデジタル放送の特徴上、電波が弱くなると画面が固まったりする。
12セグ(ハイビジョン)とワンセグを切り替えるモデルもあるが、切り替える間、画面が固まる。

(5) 電子自治体の動きと連動して、最寄りの市町村への様々な手続きや施設予約が可能になる

これもデジタル放送波とは無関係。テレビ受像機がネット化することで受けられる恩恵。

誤解を恐れずに言うと、消費者にとって地上波放送のデジタル化の恩恵はハイビジョン画質ぐらいのものだ。
後は、標準化されたEPGを使ったDVR(デジタル・ビデオ・レコーダ)での簡単な予約録画による、視聴形態の変化ぐらいか。

海外での地上デジタル放送はSD画質(ハイビジョンではない)も多いし、高いテレビを買うくらいならハイビジョンで無くても良いという高齢者を何人も知っている。
また、既存のアナログテレビに接続して使う、簡易デジタルチューナーというものは「高齢者に優しい」と言われる字幕機能や音を遅く聞こえる機能は持っていない。
しかも、ローカル放送局の設備投資コストと運用コストはバカにならない。

つまり、地上アナログ放送が終了したとしても、それは本当の意味でのテレビがデジタル化する訳ではない。
テレビ受像機自身もしくはSTB(セット・トップ・ボックス)、DVR(デジタル・ビデオ・レコーダ)がデジタル化を進めるのだ。

放送局や大手広告代理店は、この違いの本質を理解しているのか?
GoogleがAppleが「地上デジタルテレビチューナー付き」のコンピュータ内蔵のネットテレビを出したらどうなると思っているのか?
GoogleTVが普及するとどうなるのか、AppleTVではなく、iPadならぬ「iTV」など出したらどうなるのか?

ま、結論はこうだ。
民放の放送局は、無料で提供できるコンテンツ力ぐらいしか優位性が無い。
その民放のCM収入に50%近く頼る広告代理店の先行きも明るいとは言えない。
コンテンツや広告を自由にコントロールできるプラットフォームを持つ黒船に対抗する術はあるのか?

とある筋のウワサでは、アナログ放送が延長される可能性がある・・・とのこと。
理由は、地デジ対応のテレビorチューナーが普及しきれずに視聴率が下がるから、と。
もっとも、本当の話かどうかは別だが。

テレビでコンテンツを楽しむアクトビラの株主構成が、機器メーカーのみというのも面白いところだ。

テレビ、パソコン、タブレット、スマートフォン、ケータイ、ゲームマシン・・・様々なデバイスが融合し、ネット化が進む中、消費者の時間=収益を得る覇者は誰になるのか?

これから、ますます面白いことになりそうである。

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